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いよいよ2015年。いよいよ、というのには意味がある。

週刊住宅新聞20150223

週刊住宅新聞2015年02月23日号掲載

70年周期説をご存知だろうか。

およそ70年ごとに価値観や世の中の構造が劇的に変わることを繰り返してきたという説だ。

今から70年前は、太平洋戦争(1945年前後)。その前は、明治維新(1875年前後)。

こうした歴史から学べること。それは、これまでの価値観がひっくり返ることだ。

新築志向の崩壊

まずは入居者の価値観がひっくり返ることについて考えてみよう。

例えば、新築プレミアムの崩壊。以前ほどには、新築に価値を認めてもらえない。むしろ、古い物件の人気が上昇中だ。入居者は、画一的な新築の部屋よりも、DIY(自分でリフォーム)することで、自分たちの好きなような空間を作ることに価値を認めるのだ。この流れには注目したい。

続いて、賃貸管理業界の価値観がひっくり返ることを考えてみよう。

それは、業界主導による画一化された賃貸管理から、大家主導による多様化された賃貸管理になることだ。なぜなら、多くの業者は管理物件を満室にできないからだ。

業者任せの限界

現在の賃貸管理システムは、新築も築古も、駅近も駅遠も、マンションも戸建ても、すべて同じフォーマットに押し込めている。

そして数値上、競争力のある物件から順番に入居者が決まり、競争力の劣る物件は空室のままとなる。ここで業者は「競争力に劣る物件をなんとかしよう!」とはならない。そんな面倒なことをしなくても、競争力のある空室を紹介すれば売り上げになるからだ。

評価されない業者

それでも努力して満室にしたとしても、大家から評価、例えば満室ボーナスなんてもらえない。

なぜなら、彼らにとって満室は「当然」だからだ。これでは業者はわざわざ、物件ごと・大家ごとに、満室戦略を立案・実行するために、今までにないノウハウを学び、大家との打ち合わせに時間を割くことはしない。

追い詰められる大家

「業者に任せていても私の物件は満室にならない」「どうしたらいいのだろう」。

今時の大家なら、ちょっとネットで調べれば、いろいろな空室対策の書籍があることに気が付く。そして、業務の仕組みが体系的に学べる不動産実務検定なるものがあり、各地に大家の会や大家塾なるものを見つける。

そうしてさまざまな知識や事例を学び行動に移していくのだ。

行動する大家たち

先に、転換を迫られるのは業者ではなく大家だ。

なぜなら、空室が増えて先に破綻するのは、業者ではなく小規模事業の大家のほうだからだ。なりふりかまってはいられない。

まずは物件の近くにある仲介会社に自ら営業に出向く。さらに、例えばフリーレントや自転車・家具家電のプレゼント、壁紙選びなどのキャンペーンを行う。

ほかにも、ペットOK・外国人OK・ルームシェアOKなど、運営ルールも見直す。 さらには、お客さまに「ここに住みたい」と指名されるような独自のコンセプトを作る。

例えば、ダイエットする女性を応援する、シングルマザーを応援する、資格取得を応援する、大学の勉強を応援する、オタクライフを応援する、そんな物件のことだ(これらはすべて実在する)。

こうしたコンセプト型賃貸を、私は「課題解決型賃貸」と呼んでいる。前述のDIY賃貸もその一つだ。入居者の自己実現を応援するコンセプトなのだ。

こうなると、立地や築年数は、二の次三の次になることが期待できる。

大家が好む業者

こうした大家の取り組みを歓迎し、大家ができない部分を積極的にサポートしてくれる業者は、大家に好まれる。

だが、多くの業者はこの手のタイプの大家には「困る、やめてほしい」と思っているだろう。なぜなら、物件ごと・大家ごとにルールが異なると、業務が煩雑で定型化できず、対応しきれなくなるからだ。

しかし、大家としては「だったら早く満室にしてくれ」と言い返したくなる。このように、業界主導による画一化された賃貸管理システムは、ほころび始めている。

では、大家主導による多様化された賃貸管理の時代に、業者としてはどうしたらいいのだろうか? 2つのスタイルを紹介しよう。

コンセプトで特化

一つ目は、コンセプト特化型だ。

すでにある業者を例にするなら、ペット可物件専門・楽器可物件専門、シングルマザー物件専門などだ。業者は、特定のコンセプトに基づき、物件の設備やルールを整備し、お客さまを集める。

業者のメリットはシステム化できることだ。難点は、従来の入居募集システムとは別に、独自のメディアを育てる必要がある。なぜなら、特定のコンセプトが専門的であればあるほど、従来の入居募集システムで探す人とマッチングしないからだ。とはいっても、今は1人1台スマホ時代。ネットやSNSなどで低予算でも工夫次第で実現できる。

大家のメリットは、競争力が付くことで満室になることが期待できることだ。しかし、業者の管理物件の中で競争が始まる。結局、競争からは逃れられない。となれば独自路線を選びたい。

自主管理をサポート

二つ目は、自主管理サポート型だ。

これは、業者は業者にしかできないサービスだけを行う。大家が自らできることは自らやってもらう、または直接、専門業者と契約してもらう。

ここでいう業者にしかできないサービスとは、仲介(契約)業務、滞納保証会社の取り次ぎ、ポータルサイトの掲載などだ。宅建業の免許がないと法律上できない、または取引できないサービスだ。それ以外の業務、例えば入居者とのやりとり、定期清掃などは行わない。宅建業の免許は不要だからだ。

業者のメリットは、業務が極めてシンプルになること。そして空室の責任を負わないことだ。大家からのプレッシャーから解放されるのは大きい。

大家のメリットは、自由に満室戦略を立案・実行できることだ。自らコンセプトを作り、独自の運営ルールを作ることに、誰にもじゃまされない。やりがいも収益も大いに増す。

しかし、それで満室になるかは自己責任。もっとも事業なのだから、これが本来のあるべき姿だ。成功率を高めるには、いくつかのコミュニティーに属し、仲間と研究・実践を行い、成功も失敗も分かち合うことだ。

選別が必要な時代

いかがだっただろうか。業界や業者側の都合に、大家や入居者を押し込むのは時代の流れに逆行している。かといって、物件や大家ごとに満室戦略を立案・実行することはできない。

これからの賃貸管理業は、何に特化して何をやらないのかの選別が必要となる。ぜひ考えてみてほしい。

新人大家さんのための不動産投資戦略マスター大友哲哉(おおとも・てつや)
わらしべ不動産アカデミー主宰
大友不動産有限会社代表取締役
一般財団法人日本不動産コニュニティー理事

(掲載号:2015年02月23日号)

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